工程の紹介

金継ぎ教室に「参加された編集部Mさん」の体験(雑誌ミセスから抜粋しました)

金継ぎ教室「講師」

伊藤和江(いとうかずえ)
外資のホテル業に約20年従事した後、2000年東京青山に玄米料理のレストラン「Kuh」をオープン(’07年まで)。現在は「テーブルスタジオ・タキトー」はじめ各地で、料理やオリジナルの現代風金継ぎを教えています。

1.割れの種類を見極める

「一口に割れといっても五つのタイプがあります。まずは、どんな割れ方をしているのかを見ること」まるほど、他の方の器を見てみると、欠損も様々。この見極めは次の作業を決定するので大切です。破片がばらばらであれば、初めにパーツをパズルのようにつないで元の形に戻さなければならないし、ひびが入ってるだけなら、早速すきまを埋めていく作用に入ります。持ってきたお茶碗は粉々の「割れ」状態…。

ほつれ
小さな欠け
欠け
大きな欠損で破片がない
にゅう
わずかなひび割れで表面に凹凸がない
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ひび割れ
割れ口の大きなひび、ほつれ、欠けから続く
割れ
一般的な割れ
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・破片あり→2へ ・欠け、ひび割れ→3へ

現代風金継ぎの道具

1.洗い液 2.接着剤 3.接着パテ 4.カッター 5.スポイト 6.金粉7.新うるし(下) 8.筆 9.ピンセット 10.小皿

上の道具は市販されているが、セレクトは伊藤先生のオリジナル。1~10に筆4本、耐水サンドペーパー、パフをセットにして教室で販売。

2.破片を接着する

専用の接着剤を使って破片どうしをつなぎます。この時、接着剤をつけすぎないことが大切。片側だけに薄くのばします。つなげたらしっかりと両手で押さえて、つくまでじっと我慢。

先生のレクチャーに、皆さん真剣に耳を傾けます。

3.接着パテでひびや欠けた部分を埋める

接着パテを約1cm幅にカッターで切り、指でよくこねます。中央の黒色と表面の白色が混じり灰色になったらいいころ合い。2の接着剤部分や「にゅう」のすきま、「ほつれ」「欠け」の部分にパテを埋めていきます。このパテ、すぐに熱を持ち乾燥してしまうので、その前に手早く、さらにできるだけ薄く埋め込む必要があるのです。なかなかうまくいかずに、先生の「OK」をもらえません。

Good!パテは薄く、表面はなめらかに。器にほとんど凹凸ができないのが美しい。

4.サンドペーパーでみがく

やっと先生のOKをもらい、乾燥のためしばらく放置。約五分後、パテが乾いたら、耐水性のサンドペーパーで埋めた部分をみがきます。指でなぞって、器の表面に凹凸感がなくなるまで。元の絵つけまで削ってしまったりしないように慎重に!

パテをつけるときは、器にお化粧をするような気持ちで、優しく、丁寧にね。

5.金色を作る

金粉と新うるしを1:1で小皿の上に出し、スポットに入れた同量の薄め液で割ります。筆を横に倒し、気泡が入らないようにそっと三つを混ぜていく。先生によれば「その時にできる上澄みが最も美しい金色」とのこと。金は薄くても、どろりと濃すぎてもだめ。ちょっとした加減であっという間に色も質も変化してしまうため、神経を集中させないといけません。成功への近道は「上手な方の金色を見て、作り方の秘訣を教わること」。教室には、互いに教えあったり、教えられたりする楽しさもありました。

金粉と新うるし、薄め液をそっと混ぜていくと、写真のようなきれいな金色ができる。
やり直せば、やり直すほど、うまくなります。

6.筆を置いていく

思い通りの金色が作れたら、いよいよ、修復した部分に筆を置いていきます。筆先にたっぷり5で作った金粉を新うるしを混ぜた液を浸し、線や面を描きます。もちろん、一回ではうまくいきません。よれたり、震えたり、はみ出したり。でも洗い液を浸した布でぬぐえば色は消えるので、何度でもやり直しができます。納得がいくまで描いては消し、消しては描きを繰り返し…。

・ 線(にゅう)の場合

筆先を立てる。スタート地点に液をため、それを一息でのばして線を引く。終わりは余韻を持たせながら筆を離す。

・ 面の場合

筆を寝かせる。表面に色の継ぎ目や凹凸が出ないように、なるべく大きな面を意識して筆を一定方向にのみ動かす。

7.完成

やっとの思いで金を塗り終わり、20分から30分後。新うるしがある程度乾いたことを確認したら、完成です!

教室で継ぎました

先生や、教室の皆さんに教えてもらいながらやっと完成したもの。すぐにまた使うことができるというのがうれしい。

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持参の洗濯ばさみで金継ぎの周囲を挟み、顔料がビニール袋につかないようにして持ち帰ります。洗い液で筆をゆすいで、かたづけも忘れずに。持ち帰ってから夜の間は乾燥させて、翌朝のの食卓で茶碗が復活しました。

「参加された編集部Mさん」の体験でした。



講師紹介

Kuh金継ぎ工房 講師

伊藤和江(いとうかずえ)
マカオの政府観光局開設後、香港観光局及びキャセイパシフィック航空と共にジョイントプロモーションを担当し、国内外のプロモーションに参加

外資のホテル業に約20年従事した後、2000年東京青山に玄米料理のレストラン「Kuh」をオープン(’07年まで)。現在は「テーブルスタジオ・タキトー」はじめ各地で、料理やオリジナルの現代風金継ぎを教えています。

その他の活動

  • 都内各所で食にまつわる教室を開催。季節の保存食、お漬物、お味噌汁なその手作り教室。
  • 「器の命を継ぐ」金継ぎ教室 Kuh金継ぎ教室「あ・そ・び」
  • 食から器へ。普段使いの器を化粧直しをして使い続ける技術「金継ぎ」の教室2011年 Kuh 金継ぎ教室から「あ・そ・び」展を開催

東京・南青山 Kuh金継ぎアトリエ
代理商专卖店 香港世紀匯通有限公司

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